1.はじめに
この論文。明細書をAIと共同で書く際の参考になりそうだったので、読んでみました。
論文を書くステップをいろんな観点で示しつつ、具体的なプロンプトも豊富で参考になりました。
2.内容
(1)アカデミック・ライティングは結構辛いそうです。
特に非英語圏の人に顕著というのは理解できます。
Franz Kafka expressed it eloquently: “How time flies; another ten days and I have achieved nothing. It doesn’t come off. A page now and then is successful, but I can’t keep it up, the next day I am powerless”.
(DeepL翻訳:「もう10日経っても、私は何も成し遂げていない。もう10日経っても、私は何も成し遂げていない。たまに1ページが成功しても、それを維持することはできない。」)
(2)AI collaborative framework
そこで、この論文ではAIを使った論文執筆のためのフレームワーク(「AI collaborative framework」)を提案しています。このフレームワークは下記の(ⅰ)〜(ⅲ)とおして説明されています。
(i) the short-term and long-term rationale for engagement along with their underlying mechanismsand potential limitations,
the short-term and long-term rationale
執筆速度・文章のニュアンスを表すなど、論文執筆の生産性を高める(shrt-term)ことと、論文執筆の能力を高めること(long-term)。一方、生成AIの欠点(不正確な生成や頼りすぎて逆に論文を書けなくなる)なども挙げられていいます。
(ii) the role of AI throughout the writing process, conceptualized through a two-stage model for writer–AI collaborative writing and,
2段階の協働モデル(Two-stage collaborative writing )。
2段階は、①ストーリーの本質、価値提案、構造的アウトラインの開発:著者の視野を広げたり、アイデアや論文構成を提案してくれる段階と、②原稿のインタラクティブな作成:英語の執筆ための言語的な支援をしてくれる段階とのこと。
(iii) the nature of AI assistance in writing, through a model of types and levels of writing assistance.
手伝いのレベルとプロンプト
論文作成をAIがどのように手伝うかで、直接と非直接的の両方あるとした上で(Types and levels of writing assistance)、論文作成を生成AIに手伝ってもらうレベルを5段階に分けています。直接的なヘルプは下記のprompt(プロンプト)でいうとレベル1-4,非直接的なヘルプはレベル5です。
(3)具体的にどんな支援をしてくれるか?
⇒Box1に例文が乗ってます。3つの段階で、支援内容とプロンプトを説明しています。
原稿のアウトライン (Outlining the manuscript)
キーポイント、アウトライン自体、価値提案、物語の流れについてブレストやフィードバックで膨らませた上で、批判的なフィードバックを提供する(レベル4,5)。実際のアウトライン執筆でも、することができます。アウトラインの実際の執筆は、論理的な物語の流れを確保するために、リライト(レベル3)や編集(レベル1と2)を通してLLMが支援することができます。ボックス1は、急いで書かれたアウトラインをLLMに渡し、言葉を磨き、説得力のあるストーリー・アークを構成してもらう際に使用するプロンプトの例を示しています。
内容を書く(Writing the content)
①既存の文章の説明を変えたり、言い換える。長い文章を要約して、書き手の理解を深めたり、要点を抽出したりする。②新しい文章を完成させたり、続きを書いたりする。例えば 文中でどの単語やフレーズを使うか迷っている場合、LLMは複数の選択肢を提示するなど。③抄録やタイトルの候補をやってくれる(レベル3,4)などいろいろやってくれますね!
編集/校正(Editing the draft.)
アドバイザーや査読者として、
①普通の校正:スペルや文法のチェック、同義語や反意語の提案、語彙の増強など(テーブル1)、要点をまとめ、論理的に整理すること、本文から重要なアイデアを抽出し、例や類例を提案する。
②高度な校正:要点をまとめ、論理的に整理すること、本文から重要なアイデアを抽出し、例や類例を提案すること、例や類推を提案し、読みやすさを高める、文章のスタイルを分析し、それを模倣する、原稿の文脈や書き手の好みに合わせて、序文や結論の文章や段落を書き直す。
③専門外の読者として、文章中の専門用語を特定し、文章のアクセシビリティを高めることができる。校正の過程で書き手を教育することもできる!
など大変ありがたい役をやってくれるなと思います。
(4)その他
倫理的・政策的考察では、生成AIのやっていることが、低レベルのprompt(レベル1と2、表1)では既存の論文ライティングツールの出力に似ているが、高レベルprompt(レベル3-5)では法的・倫理的な問題が出そう。ハルシネーション、再現性、著作権の問題も存在すると指摘しています。
3.最後に
AIのアシストをレベル分けして述べているのは、自動運転のアナロジーのようで頭に入りやすかったです。また、AIに頼りすぎると逆に書けなくなるというのは注意が必要というのが気づきでした。なんかプログラミングと同じ議論のようでした。
人間が気持ちよくライティングできる共同の仕方も追及してみたいです。
教育というのはいいなと思いました。AIにおまかせ、じゃなくて教育!
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