特許の実証分析系の論文を網羅したい(1/2)
- NISHIO KEI
- 4月16日
- 読了時間: 9分
1.はじめに
・昔、渡辺俊也先生のゼミに2年間いたときに、特許の実証分析という分野を教えてもらい、そこから自分もやってみたいなと思って10年ほど過ぎてしまいました(読んでるだけ)。
・中国や韓国の研究者の人がやっている面白い論文を発見するのが楽しいですが、そもそも網羅的に調べられているのか、今回取ってみたいなと思います。
・一方、特許の実証分析系は、特許系の論文誌だけじゃなくて経済、経営、法学などに存在する可能性があり、ちこちことGoogle検索だと場当たり的になりがちで、一回整理したいなと。
・余談ですが実証分析入門が面白かったです。巻頭のセリフとか「こんなの絶対おかしいよ」
2.やり方
・安直にgeminiのDeepresearchに頼る。これだけで色々調べてくれてありがたや。
特許のデータを利用した実証分析に関する論文が掲載されている学会誌や論文雑誌の中で注目すべき学会誌や雑誌をリストアップしてください。
・この辺は整理してくれただけでも助かりました↓
特許データ実証分析の学術的ランドスケープ
A. スコープの定義
「特許研究」あるいは「特許分析(Patent Analytics)」とは、特許または特許データを何らかの形で、何らかの目的のために利用・活用するあらゆる研究を指す広範な概念である 。その目的は、イノベーションのダイナミクスや技術トレンドの理解 、戦略的意思決定への情報提供 、政策評価 、経済的価値や知識拡散の評価 など多岐にわたる。この分野は学際的な性格が強く、「パテント・ビブリオメトリクス(Patent Bibliometrics)」、「パテントマティクス(Patinformatics)」、「テックマイニング(Tech Mining)」といった多様な用語で呼ばれることもある 。特許分析は、特許データから有意義な情報を抽出するために設計された様々なアプローチや技術を通じて、技術開発トレンド、主要な業界プレイヤー、競争環境に関する貴重な洞察を提供する 。
B. 主要な関連学術分野のマッピング
提供された情報源および一般的な学術知識に基づき、特許データ分析が特に活発に行われている主要な学術分野を以下に特定し、概説する。
経済学: イノベーションの経済効果、研究開発(R&D)投資、企業行動、市場構造、知的財産権(IPR)の影響、経済成長など、ミクロ経済学的分析が中心となる 。特許ライセンス契約の分析 、合併・買収(M&A)における補完性やスピルオーバー効果の分析 、従業員関係が特許活動に与える影響の分析 、政策変更(例:Bayh-Dole法)の影響分析 など、具体的な応用研究が多数存在する。
経営学・戦略論: 経営戦略、組織行動論、コーポレートファイナンス(イノベーション関連)、知財マネジメントなどが含まれる 。企業のイノベーション・パフォーマンス 、競合情報分析(Competitive Intelligence) 、M&A分析 、企業戦略における特許の役割 などが研究テーマとなる。
イノベーション研究・技術経営(MOT): この分野は特許分析の中核であり、しばしば学際的なアプローチをとる。イノベーション・プロセス、技術変化、R&Dマネジメント、知識スピルオーバー、技術予測、イノベーション指標としての特許の役割などが研究対象となる 。特許マップ分析 、引用分析 、特定産業(例:製薬 -、情報技術 -)の分析などが具体的な手法・対象として挙げられる。
法学・法実証研究: 特許訴訟の動向分析 、特許侵害に対する損害賠償額の分析 、法改正や判決の影響分析 、特許制度や関連機関(例:米国特許商標庁(USPTO)、国際貿易委員会(ITC))の機能分析 など、法制度や判例を特許データを用いて実証的に分析する研究が含まれる。意匠特許 や製薬特許法 など、特定の法的領域に焦点を当てた研究も多い。
学際的アプローチ: 経済学、経営学、社会学、コンピュータ科学(例:テキストマイニング、AI/機械学習 )、ネットワーク科学 、特定の科学分野(例:生物学、医学 )など、複数の分野の手法や視点を組み合わせて特許データを活用する研究が増加している。知識拡散 、学際性がイノベーションに与える影響 、持続可能性や環境技術 といったテーマが注目されている。
C. 分野横断性と専門分化の同時進行
特許分析は多様な学術分野に広がっている一方で、特定のテーマや技術領域(例:製薬特許訴訟 、AIやグリーンテクノロジー )への専門分化と、分析手法(例:ネットワーク分析、機械学習/AIの分野横断的な活用 )における収斂が同時に進んでいるように見受けられる。
この背景にはいくつかの要因が考えられる。第一に、特許データの量と複雑性が増大する中で 、高度な専門分析技術が必要とされている点である 。第二に、経済的影響、戦略的優位性、法的解釈といった各分野固有の問いに対して、分野特有の理論的枠組みが必要とされる一方で、データサイエンスやネットワーク科学から導入された共通の実証ツールがますます活用されている点である 。第三に、政策的関心(例:戦略的自律性、グランドチャレンジ )が、特定のインパクトの大きい技術領域への研究を促進し、専門分化を後押ししている点である。第四に、この二重のトレンドに対応するため、学際的ジャーナル - や、より広範なジャーナル内に専門的なトラックが設けられるようになっている点である。
これは、研究者が特許データの幅広い応用可能性を認識すると同時に、対象とする分野やジャーナルにおける特定の理論的・方法論的要請にも注意を払う必要があることを示唆している。発表媒体の選択においては、分野への適合性と方法論的な整合性のバランスを取ることが求められる。
リスト(海外)
J. 主要国際ジャーナル一覧(提案テーブル)
以下の表は、特許データを用いた実証分析論文の掲載実績が豊富な主要な国際ジャーナルをまとめたものである。
ジャーナル名 | 主要分野 | 出版社 | 主要指標例 (IF/Rank) | 関連性・備考 |
Research Policy | イノベーション, 政策, 経済, 経営 | Elsevier | 高IF (例: 7.2 ), FT50, ABDC A* | 科学技術イノベーション政策のトップジャーナル。特許研究多数掲載 。特集号あり 。 |
Strategic Management Journal (SMJ) | 経営戦略 | Wiley | 高IF (例: 6.5 ), FT50, ABDC A* | 戦略分野トップ。イノベーション戦略、IP戦略に関する特許研究掲載 。特集号あり 。 |
Journal of Economics & Management Strategy (JEMS) | 経済学 (産業組織), 経営戦略 | Wiley | 中IF (例: 1.2-2.2 ), ABDC A/B | 競争戦略、応用ゲーム理論に強み。特許取引・データセットに関する研究・特集号あり 。 |
Economics of Innovation and New Technology (EINT) | 経済学 (イノベーション) | Taylor & Francis | 中IF (例: 3.2-3.5 ), ABDC A/B | 技術変化の経済学に特化。特許行動、スピルオーバー、M&A等の実証研究掲載 。 |
Technological Forecasting and Social Change (TFSC) | 技術経営, イノベーション, 社会科学 | Elsevier | 高IF (例: 12.9 ), ABDC A | 技術予測、社会変化。特許分析、ビブリオメトリクス、テックマイニング研究を頻繁に掲載 。 |
Management Science | 経営科学, OR, 経済, 経営 | INFORMS | 高IF, FT50, ABDC A* | 広範な分野をカバーするトップジャーナル。質の高い特許関連研究も掲載されることがある 。 |
Organization Science | 組織論, 経営戦略 | INFORMS | 高IF, FT50, ABDC A* | 組織論・戦略分野のトップジャーナル。イノベーション、組織学習に関する特許研究掲載の可能性 。 |
Journal of Financial Economics | 金融経済学 | Elsevier | 高IF, FT50, ABDC A* | 金融関連のイノベーション研究(例:信用供給の影響 )を掲載。 |
Journal of Business Venturing (JBV) | アントレプレナーシップ | Elsevier | 高IF, FT50, ABDC A* | スタートアップ、大学発ベンチャー、VC関連の特許研究に適している 。 |
Strategic Entrepreneurship Journal (SEJ) | アントレプレナーシップ, 経営戦略 | Wiley | 高IF, FT50, ABDC A* | 戦略と起業の交差点。新規事業、IP戦略に関する研究。特集号あり 。 |
Journal of Product Innovation Management (JPIM) | イノベーション経営, マーケティング | Wiley | 高IF, ABDC A* | 新製品開発、イノベーション管理。特許データを用いたR&D戦略研究など。デジタル変革に関する研究も 。 |
Technovation | 技術経営, イノベーション, 起業 | Elsevier | 中〜高IF, ABDC A | 技術、イノベーション、起業。特許分析を含む実証研究掲載 。 |
International Review of Law and Economics | 法と経済学 | Elsevier | 中IF | 法と経済学の実証研究。特許侵害賠償額分析 など。 |
PLOS ONE | 学際的 | PLOS | 変動あり | 広範な分野のオープンアクセス。技術リスク評価 、製薬特許研究 など。 |
Scientometrics | 計量書誌学, 科学計量学 | Springer | 中〜高IF | 科学技術の定量的研究。ビブリオメトリクス、特許分析。方法論的研究や科学技術ダイナミクス研究に最適 。 |
Research Metrics and Analytics | 計量研究, 特許分析 | Frontiers | 新規ジャーナル | 特許分析、引用ネットワーク分析、AI応用など 。 |
注: IF(インパクトファクター)やABDCランクは変動する可能性があるため、最新の情報をご確認ください。FT50はFinancial Timesが選定するビジネススクール研究評価のためのジャーナルリストです。
リスト(日本)
・月間パテント誌や日本知財学会などがなかったけれど、確かに実証研究ではなかったなと気づきました。
3.定期的なクローリングと内容整理
・RSS取得とかAPIがあると一番だが各サイトなどで確認していかないといけないです。
・色々検討・準備しないとで、こちらは後半へ。
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